九条一馬氏が『絶体絶命都市4』について語る。
発売中止となったPS3用ソフト『絶体絶命都市4 -Summer Memories』ですが、アイレムを退社し現在はグランゼーラのゲームクリエイター九条一馬さんが、Twitterにてつぶやいた。
絶体絶命都市4では、今までの絶シリーズとはかなり考え方を変えて作っていた。一番の特徴は、これまでのシリーズが災害発生から1~3日の出来事をゲームにしていた。主人公とパートナーは崩れていく街、浸水していく街を駆け抜けていく。絶4ではそこが大きく異なる。
絶4では、最初の大きな地震発生から約一週間その街に滞在するのだ。その間、主人公は様々人たちと出会い、行動を共にする。パートナーが固定せずに途中で入れ替わる(ずっと同じパートナーとは進めない)のも、絶4の特徴だ。
街にもたくさんの人があふれている。一つの交差点付近に60人ほどの人がいるマップもあった。開発終盤で処理落ちの対処を行っている途中で開発中止になったので、この点は解消できていない。
一週間ほどの放浪の中で、主人公は同じ場所を幾度か訪れる。すべてのマップではないが、特定のエリアには二度、三度と訪れるのだ。その間に大きく傷んだ街が復興し始める。この点がこのタイトルの最大の特徴だ。これを描きたかったのだ。
たった一週間なので劇的に復興が進むはずもない。しかし、液状化していた道路は乾き多くの土がたまる。砂埃が上がる中をクレーン車やショベルカーが入り、多くの作業員がビルの残骸や自動車を片付け始める。
夜は避難所で寝泊まりし、昼は瓦礫と化した自分の家に家財道具をとりに行っている人々。崩れた自宅の中で、両親と弟を探している女子高生。廃墟の中で、道路に机と鍋を置きうどん屋を再開し始めたおじさん。全焼してしまった、身寄りのない子供たちを預かっていた施設のその後。
避難所にある高齢者差別、外国人差別。災害で弱った人々の心につけ込み近づいてくる謎の集団。災害のどさくさに紛れ、困っている人々をさらに不幸に陥れようとしている人々。そして、CEROとも「もめた」問題のシーン。
絶4では「復興の兆し」という希望と、その光が作る「影」を描こうとした。災害の本当の大変さは「その後にある」ということに重点をおいている。そういうゲームが世の中にあってもいいと思っていたし、今も思っている。
絶4は完成しなかった。これは伝えておかなければならないことだが、絶4が世に出なかったのは3月の震災のせいではない。私たちが目標としていた日までに完成させられなかったのだ。この点については、プロデューサーとして、ゲームデザイナーとしてとても責任を感じている。
震災や当時の経営者のせいではなく、自分たちにあのゲームを完成させるだけの力がなかったのだと思う。その体制を作れなかったこと、完成させられなかったことで、私の中には大きな悔いが残っている。
私は諦めていないし、あえてこの時期に言うのだが、いずれ「震災」をテーマにしたゲームを作り、世に出すつもりだ。ただ、今の私たちには力が足りない。実力が足りない。もっと考えて、もっと力をためて、作れるだけの実力を身に着けなければならない。その日を迎えるために...
2011年9月28日 | コメント (0)
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